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お知らせ

23 日

7月

2015 年

ドイツのエネルギーシフトを日本に当てはめていたら?

ドイツでは2015年7月の現在でも、エネルギーヴェンデ(エネルギーシフト)は、進展を続けています。


当然、他の先進工業国でもこれだけのスケールで実施している前例がない戦略、政策であり、ドイツ国内にも様々なステークホルダーがいますから、問題がまったくなく、快調に邁進しているのか、と問われれば、直進する道ではなく、山あり谷ありの茨道で、走りながら考え、一時は停止し、またスタートし、ということで順風満帆ではありません。ただし、毎年、毎月、毎日、少なからずも定めた目標(2050年のビジョン)にだけは向かって少しづつでも進んでいる、進歩していると評価することがいえるでしょう。


日本では、これらについては一方で礼賛する勢力があり、他方でそれに対して反論する、というか全く評価しない勢力がありと、なかなか真実が伝わっていない様子であることは、私のような仕事をしていると、ダイレクトに感じます。


例えば、バブル気味だった太陽光発電の普及について、徐々にブレーキをかけておくべきだったのに、政治的にいろいろな関心で、その対応が遅れ、ドタバタし、結局は一旦仕切りなおしでストップさせなければならなくなったことを捉えて、「ドイツのエネルギーシフトは頓挫した(失敗した)」というような声を上げている人、団体も数多くありましたし、そうした事象にはできるだけ触れないで、進展の目覚ましいところだけをいいコト取りして、「ドイツは素晴らしい」と持ち上げる人、団体もあります。


当然、こうした前例がない試みは世界中からの関心を集めており、で、あればこそ、そこには様々な思惑、視点、立場、考えによって、様々な評価が下されるのは当然です。また、こうした大きな関心が集まる事柄に対して、一つの意見しか出ないのでは、健全でも何でもありません。


でもね、もうちょっとエネルギーシフトの全貌を知った上で、細々した事象について語ろうよ、という自分がいます。大切な「森」のほうについては情報共有や理解が進まないまま、日々の細々とした「木」のほうばかりに議論が集中しているような気になるんです。


ということで、今回、ドイツの各種のエネルギーシフトにおける目標値、そして現状と出発点を整理し、同時に、本筋の対策の意味、意義について、エネルギーフロー図、つまり一次エネルギー供給と最終エネルギー消費の観点から、何のためにそのような試みをしているのかわかりやすい形でレポートしてみよう、と思い立ちました。同時に、そのドイツでの本筋の取組みを、もし、日本のエネルギー供給、消費の状態に代入してみると、何が見えてくるのか? そんな試みをレポートの中では取りまとめて見ました。


基本的には、ドイツは2050年までに、一次エネ供給量を半減し、化石・原子力に頼らない社会をわずか3つの対策(電力の再エネ化、自動車交通のEV化、建物の高断熱化、高気密化)で実施することができますし、その方向で進展しています。日本に当てはめてみると、4つの対策(電力の再エネ化、自動車交通のEV化、建物の高断熱化、高気密化、そして給湯エネの省エネ化・再エネ化)が必要になることも明らかになりました。


15ページの計算式の多いレポートになってしまいましたが、使っている計算は足し算、掛け算のみです。


ご興味のある方は、多少の時間を投資して、レポートを読み解いていただければ幸いに思います。


※なお、このレポートは私の個人的な見解です。文中に使用しているエネルギーフロー図は、ドイツ経済・エネルギー省の「エネルギーデータ」、日本のエネ庁発行の「エネルギー白書」から出典を明示した形で掲載しています。


独日比較 エネルギーシフト
20150717 独日比較 エネルギーシフト 村上作成.pdf
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30 日

6月

2014 年

共著の出版『ドイツの市民エネルギー企業』

学芸出版社より、『100%再生可能! ドイツの市民エネルギー企業』が出版されました。

 

共著者:村上敦・池田憲昭・滝川薫(MIT Energy Vision GbR)
A5判・204頁・定価 本体2200円+税
2014年6月発売
ISBN978-4-7615-2573-6
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ドイツの再生可能エネルギー増産を牽引するのは、地域に密着した企業活動。市民が起こしたエネルギー株式会社、エネルギー組合、自治体のエネルギー公社 等、代表的なビジネスモデルを現地のジャーナリストが紹介。エネルギーのしくみを変える社会とは?その実現に必要なことは?エネルギーヴェンデ(大転換) の最前線に探
る。

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共著『100%再生可能! 欧州のエネルギー自立地域(学芸出版)』の出版から2年。欧州のエネルギー自立、100%再生可能エネルギー地域を目指す「地域、自治体」をテーマに、事例や背景情報を取り上げた前著でしたが、今回は、エネルギー自立を目指す際、その原動力となっている市民エネルギー企業、市民エネルギー組合、自治体のエネルギー公社など、ドイツにおける再エネ推進の「ステークホルダー」をテーマに、その事例とその背景を本書では描きました。

 

1991年施行の〈電力供給法〉、2000年施行の〈再生可能エネルギー促進法(EEG法)〉というドイツにおける再エネ電力の買取制度(FIT制度)がはじまってからすでに10年以上。その間、再エネ設備を着実に設置するために投資を行ってきたのは、電力大手ではなく、とりわけ市民、農家、中小の地域の企業でした。それが地域経済における付加価値の創造につながり、価値の創造が行われていると理解した地域は、地域内のお金、投資によりさらなる投資を実施しています。

 

その過程で生み出された市民エネルギー企業や組合や、その過程における自治体公社や自治体の役割は、ドイツのエネルギーシフトを読み解く文脈ではどうしても理解したいもの。それに答える形の内容になっています。

 

日本でもFITがはじまり、太陽光発電の設置が急増していますが、大手資本や大企業の投資が目立ち、なかなか地域内のお金で投資される状況には至っていません。地域外からのお金で再エネを設置しても、地域の外にお金、経済価値はそのまま逃げてしまいます。

 

だからこそ、すでに実績があるドイツの事例は参考になります。人口減少の地域社会で、今、経済価値の創造を行うことのできる最大の対象がエネルギーです。このチャンスを日本全国の地方が活かすことを願ってやみません。

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ドイツ・フライブルク市から地球環境を考える 村上 敦

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もう一つ、重要なことを忘れていました。電力市場1.0と電力市場2.0の明確な違いですが、それは不安定電力の再エネをどのように捉えるのか、その捉え方が変化することを意味しています。日本の電力市場では、第一段階ですから、例えば再エネ(例:不安定電源のPV)を語る際に...
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ドイツの電力市場白書2015(その3)
こんな説明で分かるのかな? これ以上説明するよりも、60ページほどなんで、グリーンブック読んでよ、ということにしておきましょう。あ、英語もあるじゃん。http://www.bmwi.de/BMWi/Redaktion/PDF/G/gruenbuch-gesamt-englisch,property=pdf,bereich=bmwi2012,sprache=de,...
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とはいえ、皆さん、電力市場の形態をより進化させた「電力市場2.0」か、今の電力市場を多少修正し、新たに「容量市場」を並列させるのか、どちらかに決断すると言われてもピンと来ないですよね。本来は、おおまかに概略しちゃうといろいろな意味で正確性に欠けてしまうので(...
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ドイツの電力市場白書2015(その1)
はい、ようやく、遅まきながら、かつ、目覚ましい進歩ではありませんが、ドイツでは、生産過剰にあえいでいる電力市場を正常化するため、老朽化した褐炭発電の廃炉の取り扱いについて、政府方針が打ち出されました。http://www.bmwi.de/DE/Presse/pressemitteilungen,did=718...
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エネルギー白書2015を眺めて(その3)
そうそう、もう一つだけ追加で指摘しておきたいことがあります。国際エネルギー動向(第ニ部二章) 本文の196、197ページにおいては、世界各国の発電状況が述べられており、発電源の項目では、フランスの原子力設備割合52%、発電量割合74%に(あたかもポジティブな事例と...
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エネルギー白書2015を眺めて(その2)
それから、もう一つの違和感の部分を論じたいと思います。国内エネルギー動向(第二部一章) 本文の108、109ページには、日本のエネルギー消費について論じる中で、単位GDPあたりの一次ネルギー供給量をグラフ化し、「現在の我が国のエネルギーの利用効率が、依然として高い...
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エネルギー白書2015を眺めて(その1)
日本のエネルギー白書2015年が公表されました。http://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2015pdf/ということで、毎年のことですが、356分の1日を使って、全文を眺めてみました。そして、そういえば「白書」の正確な定義ってなんだっけかな?と思いついて調べてみると...
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ギリシャ問題
環境とは関係がありませんが、ちょっと考えたことがあるので、ブログに記します。専門ではないので、多少の間違いがあるかもしれませんが、今のところ、ギリシャは以下の様な負債を追っていると報道されています。 ESFSから1310億ユーロ ECBのTargetⅡから420億ユーロ ECBのS...
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